カテゴリ:木曜日( 48 )

ナイフを上手に使えないハリネズミと 言葉を上手に包めない私と

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by mowmowmocha | 2011-09-29 20:44 | 木曜日

十年目のプロポーズ

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by mowmowmocha | 2011-09-01 20:14 | 木曜日

レコードに針を置けば、カンガルーとウズラのワルツ

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by mowmowmocha | 2011-08-04 04:33 | 木曜日

少しずつ広がる世界 手に負えなくなる未来

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by mowmowmocha | 2011-07-14 19:31 | 木曜日

あの海のこと あの頃のこと

「そらまめ」

メニューを見ながら注文すると、焼くか煮るかと問われる。僕はちらりと隣の席を見て、焼くようにと店員に向かってはにかんだ。店内には僕ら以外に2、3人の客。もともとカウンターしかない店だ。僕は今更になって、この間彼女が連れて行ってくれた店とは比べ物にならないことに申し訳なさを覚えた。もう一度彼女を盗み見る。彼女はこの店がどうかなんてとんと興味がない様子で、カウンターに並ぶクジラの小さな置物をころころと転がして遊んでいる。

まさかもう一度会えるなんて思ってもみなかった。彼女は猫だ。相変わらず多忙な日常を送っており、もはや休みも土日じゃないらしい。それでも濃い栗色の毛は相変わらず艶やかだったし、白い靴は美しく磨かれていた。目紛しく変わる彼女の日常とは裏腹に、僕は相変わらずはっきりしない毎日を送っている。だから、こんな僕がまた彼女に会えるだなんて、思ってもみなかったし、正直驚いた。

僕らは何でもない話をした。最近読んだ本の話。映画の話。昔助けてくれた上司を好きになったり、世界で一冊の本を取り合ったり、貴族がスープを飲んだり、そんな話。僕が話している間、彼女はビールを飲んでいたし、彼女が話している間、僕は空豆を食べていた。
それでも時々彼女の目は光り、核心を突くタイミングを狙っている。僕だってそれに気付いていた。そして、いよいよその目に負けた僕は、まとまってもいない夢の話をすることになってしまった。彼女は満足げにしっぽを2回振り、僕の話に耳を傾けた。僕はきっと、こんな彼女の態度に救われているんだと思う。僕がゆっくりと言葉を選んで紡ぐ説明に対して、率直に口にされる「どうして」に僕は必ず答えらることができない。答えられないから考える。考えていたって所詮僕の頭で考えられることなんてたかが知れているんだけれど、彼女はそこにそっとヒントをくれる。やっぱりできる猫は違うなぁと僕は安直に感心する。そして嬉しい気持ちになる。勝手だな。でもそれが僕の正直なところなのだ。

そんな彼女へのお礼のつもりで、本を3冊貸してみる。僕が楽しいと思うものを、彼女も楽しいと思ってくれれば良いのだけれど。

店を出た途端に僕らを撫でた夜風はまだまだぬるかった。彼女にさよならをしたあと僕はまた面倒なことに巻き込まれに行かなくちゃいけない。だから、駅までの道は、せめて、ゆっくりと。

2011年07月14日

B side
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by mowmowmocha | 2011-07-14 11:30 | 木曜日

星合の夜 カササギの架ける橋は雨に崩れ

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by mowmowmocha | 2011-07-07 20:10 | 木曜日

この夏 坂道は君と自転車で

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by mowmowmocha | 2011-06-23 18:20 | 木曜日

「お前も天才だけどな」

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by mowmowmocha | 2011-04-28 21:58 | 木曜日

緊張しながら、あなたの足音をずっと待ってました

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by mowmowmocha | 2011-04-21 22:23 | 木曜日

僕が君と出会う10分前

捨てられた。

男はみんな嘘吐きばっか。
勝手な綺麗事ばかりを並べて、自分は絶対悪者になろうとしない。
「ごめんね、僕が至らなくて」なんて言ったって、心の中にはそんな気持ち微塵もないのよ。
だってホントに至らないと思ってるなら、至るように努力したら良いじゃない。
この世の中努力が報われない方が珍しいってくらいに、案外ある程度のところまでは結果が伴うものなんでしょ。ましてあたしみたいな馬鹿女が相手なんだから、「運動不足解消のために毎朝ジョギングする」なんてくだらない目標を立てて努力するよりも、ずっとずっと簡単なことだと思うんだけど。
仕舞いには「君はココにいると幸せになれない」とか言っちゃって。勝手に決めつけないでほしいわ。幸せになれないのはそっちでしょ。

空を見上げると夕日が眩しく目に刺さり、思わず涙がこぼれそうになる。

そう。あたしといると彼は幸せになれなかったんだ。

一緒に住むようになって2年。あたし、ずっといい子にしてたのにな。
ちゃんと彼の言うこと聞いたし。時々我が侭も言ったけど、そんなの可愛いもんだったはず。
彼の帰りが遅くても寝ないで待ってたし。帰って来れば一目散に玄関でおかえりって迎えたし。
休日は疲れて出かけない彼に付き合ったし。彼の愚痴だって辛抱強く聞いたし。

それでも、彼はあたしのことが面倒になったんだ。

いつからかな。いつから鬱陶しいと思われてたのかな。

彼の仕事が落ち着いて、久々にのんびりできたあの休日は?まだ笑顔であたしと笑って話してた。
あたしが帰らなかった夜?でも心配して朝まで起きて待っててくれたし、あたしが帰れば叱ってくれた。
彼が酔い潰れて帰ってきたあの日は?あたしがついつい彼が帰ってくる前に寝てしまったあの日は?彼のボーナスが出てちょっと豪華な夕飯を食べたあの日は?
考えればきりがない。でも次々に思い出すのは、あたしと鼻を擦り合せる優しい笑顔と、あたしの頭を包む暖かい大きな手と、耳をピッタリくっつけると心臓の音が聞こえる広い胸と、何よりあたしの名前を呼ぶ低い声。一緒に寝ていた匂いや、ふざけて突っついた頬の感触や、とにかく身体中の感覚がまだ鮮明に彼を記憶していて、身震いする。

どうしろっていうのよ。

日はすっかり沈んで、あたりが暗くなった分、夜風が冷たくて、頬を涙が伝っているのが嫌でも分かる。
駅からは電車が来る度にたくさんの人が現れ、自分の家へと足早に向かい、誰もあたしに目もくれない。

男はみんな嘘吐きばっか。に違いない。
好きだとか、ずっと一緒だとか、俺より先に死ぬなとか、あたしをその気にさせるだけさせておいて、結局ポイだもん。

肌寒さと、忘れたくても頭に浮かぶ彼の思い出に震えながら、あたしはしっぽを身体に引き寄せ、耳を倒して丸くなった。
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by mowmowmocha | 2011-03-31 01:17 | 木曜日